世界をひとつにする力

先のノーベル文学賞に選ばれたカズオイシグロさん。10日に行われた授賞式を観ましたが、スウェーデンのグスタフ国王から記念のメダルと賞状を授与するときの、なんとエレガントなこと。素敵でしたね。。気品あふれる佇まいにウットリしてしまいました。笑

でもスピーチでは一転して、ご自身のお母様が長崎で被曝したこと、ノーベル平和賞が国際NGOのICANが選ばれたことなどを、真剣な面持ちで語られていました。

イシグロさんの哲学でもある「世界を文学の力でひとつにする仕事をしたい」という想いは、私も大変共感するところがあります。古今東西、各国の歴史を辿れば辿るほど、平和という2文字を語ることはとても難しいテーマ。。昨今のニュースでは各国が内向きになったり思想が分裂されたり、先の見えない時代を映し出しているようでもあります。守りか攻めか、議論も尽きません。でも、そんな中で少しでも音楽や芸術を愛でられる人は、違う方法で世界をつないでいく役割ができるのではと常日頃思っています。

「世界の人々の心をひとつにする」。。そんなメッセージを盛り込んだ音楽や映画はたくさんありますが、今日は私の5本の指に入る映画「戦場のピアニスト」からこの曲を。


ショパンのノクターン20番、通称遺作のノクターンです。演奏はブーニン。モスクワ生まれのこの方が弾くと更に意味が増すような、そんな気さえします。彼が作り出す音色も構成もすべて素晴らしいのですが、ひとつだけ特記するとしたら、この夢みるようなB部のメジャーから、マイナーのA部へ還る時のほんの一瞬の間に、この方の天才的なセンスが垣間見えます。

巨匠ポランスキー監督ならではの戦争による不条理を鮮明に描いた世界。映像も終始暗い色調ですが、それだけにこの切ないメロディーがいっそう切なく心に響いてきます。この映画が作られたあと、このノクターンはかなりメジャーになり、名曲集や映画大全のような楽譜にも掲載されることが多くなりました。それにより生徒さん達も映画を見るきっかけになったり、ご自分でも弾こうと思われたり。(結構、左手が大変です。。!)
敵同士でも心を通わせることができる。そんなひとつの力に音楽もなれたらと思います。