ブルーノートのハンクジョーンズ

ジャズピアニストのレジェンド、ハンクジョーンズ。私は彼のピアノが大好きで、表参道のブルーノートに何回か足を運んだことがあります。ピアノのタッチは本当に自然で無理がない。ガツガツと力任せに弾くこともなく、あぁ、ハートで魅せる音ってこういう感じなんだという、当時は本当に勉強になったものです。

お客様に見せる素顔も、ピアノと同じく柔らかな人柄がそのまま表れているといった感じでした。ブルーノートも昔の骨董通りにあった時代で、ステージの間口は現在に比べてとても狭くて、入り口なんてもっと狭かった。それなのにハンクはそこに立って、演奏前も演奏後も、ひとりひとりお客様をお見送りしていましたね。いつものタキシード姿で。楽屋とか引っ込まないんですよね。入り口にいたかと思うと、今度はすぐ横のカウンターに座って普通にお話をし始めたり。

私も遠慮なく、背後霊のように近づいていって「ピアノが上手になるコツは?」と聴いたら「歌うことだよ」と、ウィンク付きで返してくれたのを思い出します。


きっと、こういう人は練習なんかしなくても、いいフレーズが天から降りてくるんだろうなと思ったりしてしまうのですが、実はそんなことないんですよね。職人ピアニストと言われるだけあって、ものすごい練習をしていたようです。

「練習は1日休めば自分に分かる。3日休めばカミさんが分かる、7日休めば仕事が無くなる」彼の有名な口癖です。

優美で垢抜けてて、誰も真似できないようなセンスのいいフレーズ。何をどう弾いても、彼の歌心が聴こえてくる。下手とか上手とか関係なくて(彼に上手もなにもないのですが)テクニックだけを披露する演奏ではない、大事なことがあるんですよね。そんなことを教えてくれたハンク。今ごろ天国で大好きな弟くん達やマイルスともセッションしているのかな。。もう一度ナマで聴きたいものです。